オリジナリティと厳かさが両立した人前式のつくり方

人前式という挙式、今ではコンスタントに行われるようになりました。
私は、ウェディング プランナーになった20数年前に会社の研修で初めて知ったのですが、その後オリジナル ウェディングの流行とともに一般にも知られるようになりました。

人前式とはどんなものかをおさらいすると、

読んで字の如く「人の前で行う式」で、宗教に拠らず、参列するゲストを「立会人」として誓いを立て、承認を受けるのが人前式です。
戦前まで日本では、自宅(新郎宅)の床の間の前に新郎新婦が座り、参列者の見守る中で三々九度を行う「祝言」という挙式が一般的でした。これに最も近い感覚だと言われています。
特定の宗教の信者ではないので宗教色のない挙式をしたいとか、大切な方々全員に参列していただける挙式をしたいというご希望で選択される方が多い挙式スタイルです。

挙式としての決まりごとも特にないので、自分たちで自由に組み立てることができます。
シンプルにするなら「誓いの言葉」と「指輪の交換」だけでも挙式として成立します。

挙式スタイル(3)人前式[ウェディング事典]より

自分たちらしく、と選ぶ方が多い人前式ですが、儀式としての厳かさも求められます。
オリジナリティを出しつつ、儀式の重みを感じさせることが大切です。

オリジナリティをどう取り入れるか

私が今までプランニングした中で、ユニークな人前式をいくつか挙げてみると、

  1. 新郎がバスケットゴールにシュートを決めて誓いの証に
  2. 承認の印としてゲストの似顔絵をガーランドとして祭壇に飾って
  3. 指輪ではなくネックレスを交換

それぞれのご新郎ご新婦のバックボーンから提案したものです。
ユニークなことをしないとオリジナリティを出せないというわけではありません。
一般的な内容だったとしても、立会人を誰にするか、誓いの言葉で何を言うかなど、自分たちらしくできる要素はいくつもあります。
逆に、理由があってこそ、ユニークな内容も生きるのです。

1.はバスケットボール部で出会ったおふたり。
同じ部だった立会人代表からパスを受けて、ご新郎がシュートをしました。
外れる可能性もあるので、そこをご本人もゲストも愛嬌と考えられるかがポイントでした。
当日は見事に一発でシュートが決まり、拍手喝采に。マネージャーだったご新婦が点数表示をめくると「LOVE」のワードが現れるというしかけに。

2.は絵本や子どもにまつわる活動をしているおふたり。
大好きだという、顔をテーマにした絵本にちなみ、招待状に用紙を入れてゲストにご自身の似顔絵を描いてきてくださいと依頼。当日持参していただいて、祭壇の後ろにガーランド状に掲示しました。
書いてこない人がたくさんいるかもしれない、と心配もありましたが、おふたりのご友人やご親族についてお聞きして、それならきっと楽しんで書いてくださるだろうと決行。無事に全員が似顔絵を持ってきてくださいました。

3.は生まれつき左手首から先がないご新婦のケース。
左手薬指に指輪ははめられないので、右手にするか、指輪と別のお揃いのアイテムにするかなどいろいろ考えて、最終的におふたりでペアのネックレスを身につけることに。ご新婦も手ずからつけてあげられるように、首にかぶって着けられる長さのネックレスを交換しました。

それぞれのバックボーンを聞き、想いも確認した上で浮かび上がってくるものがあります。それを儀式としての形に整えていきます。

儀式の厳かさをどう出すか

言うまでもありませんが、挙式は儀式です。
しかし、人前式という挙式スタイルは親御様以上の世代の方には馴染みもなく、正式な挙式として認識されにくいところもあります。
自分たちにとっても親御様にとっても大事なものだから、儀式だと思ってもらえるように演出することも必要です。

私にとって人前式で必要なもう1つのポイントは、いかに厳かさを醸し出せるかということ。
ずっと厳かであれ、ということではありません。
堅苦しくすることでもありません。

まずは、滞りなく進んでいくプログラムやオペレーションをつくること。
1つとして同じ挙式はないので、特にオペレーションは毎回変わります。
段取りが悪いと、ぎこちない進行になって、厳かとは逆の印象になってしまうので、立ち位置や動き、言葉も吟味します。

ちなみに、3.の事例のおふたりの挙式では入退場の立ち位置を入れ替えました。通常は男性(父親や新郎)が右側に立って新婦をエスコートしますが、そうするとブーケが持てません。そのため、男性が左側に立つ位置にして、ブーケも持ち、腕も組めるようにしたのです。海外では右方上位の考え方に基づいて、新婦をより上位の右に置くこともあると知り、それを採用しました。

そして、ゲストにとっても重みがあるものにすること。
自分がふたりの結婚を承認をした、という意識になってもらえるようにすることです。
「立会人」を立てたり、全員参加でセレモニーをするというのは、承認者としての意識を持ってもらいやすい。
一体感を持ってもらうのも1つの方法ですね。
みんなでご新郎のシュートをドキドキしながら見守った1.の挙式も、シュートが決まった瞬間の代えがたい一体感がありました。

言葉や音が大事

司式者がいない人前式では、司会者がその役目を担うことがほとんどです。
決まった流れがない人前式、特にオリジナルのセレモニーではオリジナルの台本が必要になるので、司会者の感性もとても大事になります。
言葉1つ、言い方1つでその場の空気が一変するので、オリジナリティと厳かさのどちらについても新郎新婦やプランナーが考えている空気感をキャッチして表現してくれる人である必要があるからです。

実は挙式における司会の言葉は、多くが説明としての要素です。
これは宗教的な挙式でも同じで、列席者に内容を把握してもらうためのものです。

今年は天皇陛下の即位礼があり、儀式を目にする機会も多いですが、一連の儀式には司会進行がありませんでしたよね。
海外からのお客様もいらっしゃったので、説明があったほうが親切ではあるけれど、事前に流れや内容を理解した上で参列するのが当たり前の世界だから成立するのです。

また、きっかけとしての司会の言葉もあります。
「続いて指輪の交換です、まず新郎からどうぞ」というようなことです。

即位礼では参列者にわかるような合図もほぼありませんでしたよね。
鐘の音が合図だったり、陛下や皇族方が位置についたことが合図だったり、まさに究極のオペレーションです。

一般の結婚式ではさすがに全く言葉なしは難しい。
前述のように、言葉の選び方や言い方で空気がガラッと変わるので、大事なセレモニーについては言葉と音楽とスタッフの動きを細かく確認します。
新郎新婦や親御様、立会人のゲストの方は俳優さんでもモデルさんでもありません。
ちょっとしたリハーサルで細かい指示をしても逆に委縮させてしまうので、なるべくシンプルに、わかりやすい段取りと動きを提案するようにしています。

私がやってみたい人前式

とはいえ、もっともっとそぎ落としたいという思いもあるんです。
ダンスの舞台をやっていたせいなのか、「今から挙式を始めます」みたいなコメントをしないで進行する方法はないかなぁと時々考えます。
設備が充実した場所なら暗転したり、音を絞ったり、映画館や劇場のようにゲストが自然と静かになるような進行もできるのですが、挙式の場合はなかなか環境的に難しかったりするんですよね。
逆にプロの演者がストーリーテラーになって、生演奏で盛り上げるにぎやかな挙式もいいと思います。
これは機材であれこれやるより、屋外のほうが楽しいかもしれません。

本気でオリジナリティを追求したいというご新郎ご新婦は今すぐご連絡を!
心よりお待ちしております(笑)

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