神前式の式次第と由来

神社だけでなく、ホテルや専門式場などのウェディング会場でも「御霊移し(神社からご神体をお移しする儀式)」という正式な段取りを経た神殿を設けて挙式を行っています。
神社で行う場合も、ウェディング会場で行う場合も基本的に挙式の内容は同じです。一般的な挙式の式次第は以下のような内容です。

神前式の流れ

参殿
親族が先に社殿に入って着席をし、その後で新郎新婦が着席します。
修祓(しゅばつ)
司式を行う斎主(さいしゅ)が神殿内や列席者を祓い清めます。
斎主一拝(さいしゅいっぱい)
司式を行う「斎主(神官)」が神様に一礼、参列者もこれに合わせて一礼します。
献餞(けんせん)
本来はお供え物「神饌」を差し上げる儀式。神前式では先にお供えしておき、ここではお酒の入った瓶子のふたを開けるのみです。
祝詞奏上(のりとそうじょう)
斎主が神様に「祝詞(のりと)」を読み上げます。

Wedding Trivia/祝詞に書かれていること

祝詞奏上する斎主

祝詞には新郎新婦が結婚することを報告し、ふたりの幸せを願う言葉が盛り込まれています。祝詞は文語体(古文)で読み上げられますが、名前はもちろん、居住地も含まれているので、よく聞いてみてください。

三献の儀(さんこんのぎ)
「三三九度(さんさんくど)」のこと。神前式で最も大切とされる儀式です。
神前に供えられたお酒(お神酒)を、大・中・小の3つの盃で新郎新婦が交互に飲み合います。まずは小杯で新郎→新婦→新郎、続いて中杯で新婦→新郎→新婦、大杯で新郎→新婦→新郎の順で飲みます。
盃に注がれるお酒はほんの少し、飲み干すことが難しければ口をつけるだけでいいので、お酒が苦手、飲めないという方もご心配なく。事前に「お酒が飲めないので」と伝えておきましょう。

Wedding Trivia/三々九度の由来

三々九度の盃を持つ花嫁

三々九度は日本酒=米の酒で行いますが、そこに大きな意味があります。日本では古来から米を神聖なものとし、儀式においても米から作る酒や餅を供えてきました。その酒を同じ器から分け合って飲むことで強いつながりが生まれると考えられてきました。神前式では夫婦だけでなく、両家の親族も盃を交わすことでつながりをつくるのです。友人など親族以外の参列者はこの儀式には参加しません。

誓詞奏上(せいしそうじょう)
神様に対して新郎新婦が「誓詞(結婚の誓い)」を読み上げます。奉書紙(和紙)に書かれたものを読み上げた後で、神前に供えます。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
榊の枝に「紙垂(しで)」と呼ばれる紙片をつけた「玉串」を神前に捧げます。
玉串を右回りで正面を神様のほうに向けて案(神前の台)に置き、二礼二拍手一礼で拝礼します。
新郎新婦に加えて、媒酌人夫妻や両家の代表(父親など)が行うこともあります。

Wedding Trivia/玉串を奉げる理由

玉串

挙式の中で最も大切な儀式がこの玉串奉奠とされています。
玉串は、神様がそこに降りてくるための依り代として奉げられます。神様との仲立ちとなるものなので、祈りを込めて奉げます。
他に、大切なお供え物という説もあります。

指輪交換(ゆびわこうかん)
キリスト教式とともに伝わった欧米の習慣なので、本来は式次第に入っていませんが、最近は神前式でも挙式中に行うのが一般的になっています。もちろんなしにすることもできます。
親族杯の儀(しんぞくはいのぎ)
両親をはじめとする親族一同にお神酒が配られ、同時に飲み干します。「両家固めの杯」「親族固めの杯」とも言います。この親族杯をもって両家が親族関係になります。
撤餞(てっせん)
神饌を下げることですが、献餞と同様に瓶子のふたを閉めるのみです。
斎主一拝(さいしゅいっぱい)
開式時と同様。
退出
新郎新婦と参列者が神殿から退出します。

神社やウェディング会場によっては、これらの式次第に加えて以下を行うことができる場合もあります。

参進(さんしん)
参列者が列をつくり、挙式を行う社殿に向かって境内を練り歩くこと。雅楽の演奏などとともに進行することもあります。
神楽奉納(かぐらほうのう)
奏楽や巫女舞を神に奉げること。楽人(演奏する人)の編成、舞の種類や人数は神社によって異なります。

神道という日本独自の考え方に基づいた神前式。祖父母世代にとっては最も一般的な挙式スタイルだったので、世代を超えて想いを共有できるものと考えていいでしょう。また、挙式をきっかけに家族の人生儀礼や初詣などでその神社にお世話になっているという方も多く、家族の出発点として末永いお付き合いができるのも魅力です。

>>挙式スタイルについてはこちらの記事も

当サイト内の記事、画像、動画など全てのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を固くお断りいたします。