アフターコロナの結婚式場 見学チェックポイント

2020年5月4日に、新型コロナウィルス感染拡大防止のための「新しい生活様式」が提言されました。
詳細は業界団体で策定を、と丸投げされた感のある提言ではありますが、安全に結婚式を開催するための対策を各企業・会場で準備している真っ最中です。

「新しい生活様式」の実践例を基に、安全に結婚式が実施できるどうかを見極めるための、会場見学時のチェックポイントをまとめてみました。
会場とのしがらみのない立場からの予想や見解で書きましたので、ぜひ参考になさってください。

先行してインスタグラムでシェアした画像をリンク付きで貼っておきます。
見出しだけまとめていますので、見学時のメモ代わりにどうぞ。

1.「三密」防止対策

三密防止対策

収容人数とその考え方

提言通り、人と人との間を2m(最低1m)空けるとなると、最低値の1m空けるだけでも現在の着席人数が半分以下になる計算になります。
一般的なサービスの基準では、フルコースの披露宴の1名分の席幅は最低60㎝なのですが、倍の1.2mなら半分、3倍の1.8mなら3分の1です。
また、挙式会場の着席可能人数もかなり減少します。
どのくらいの間隔で算出しているかを確認しましょう。

挙式会場、披露宴会場の管理状況

控室等の付帯施設の管理状況

人が触れた備品等は、入れ替え時に消毒等を行って清潔にすることが求められています。
どういった防止策を行い、どのように管理するのかを確認しましょう。

挙式や披露宴が1件おひらきになって、次の方のためにセッティングを入れ替えることを、私たちの専門用語で「どんでん」と呼ぶのですが、このどんでんの時間設定は会場によって異なります。
今までは平均的に30~60分でしたが、会場内の消毒が入ればそのスケジュールでは実施できないはずです。
挙式・披露宴のスケジュールが以前と変わる可能性もあります。

挙式や披露宴は決まった人が出入りするだけですが、会場内には共有スペースもたくさんあります。
親族控室のように決まった人が決まった時間に利用する場所はまだ管理がしやすいものの、更衣室のように誰でも自由に利用できる部屋もあります。
そういったスペースはどのように管理するのか、これも確認しておくと安心ですね。
ある意味、挙式や披露宴会場よりも重要なことかもしれません。

人が触る箇所・受け渡すアイテムの対策

例えば受付でご祝儀や会費を受け取り、席次表やエスコートカードを渡す。
また、スタッフが袋詰めした引出物を座席に置き、それをゲストが持ち帰る。
人の手が介在するシーンが結婚式にはたくさんあります。
飲食のサービスや演出に不可欠なマイクなど、考え出すと本当にたくさんの接触ポイントが出てくるのですが、これらをどのように考えて、どのような方法を取るのか確認してみてください。

受付や引出物は、別の方法を取ることでなくなっていくと私は予想しています。
そういった新しいやり方も検討してみるのもいいと思います。

手洗い、消毒ができる箇所の数と促進策

提言によれば、手洗いや消毒をこまめに行うとありますが、どこでどのようにゲストに実践してもらうのかを確認しましょう。
水場は化粧室等に限られますし、全員にそこで洗ってきてというのは現実的ではないので消毒をすることになるでしょうが、全員に確実に消毒をしてもらうにはどうするのかも明確に提示してくれるようなら安心ですね。

感染の疑いがある来場者への対応策

来館時の検温の実施も提言にありましたが、入口で検温をするとして、もし熱のあるゲストがいたらどのように対応するかを確認しましょう。
列席のためにわざわざいらっしゃった方に帰っていただくというのは正直心苦しいですが、感染防止のためにはそのまま会場にお入れするわけにはいきません。
では、具体的にどうするのか。
自分たちの考えと会場の対策が食い違うのであれば、その会場で結婚式をしようと思わないかもしれません。
逆に、そういう方がいたらどうしたいか、自分たちでも考えておくようにしてください。

2.スタッフや企業のスタンス

スタッフや企業のスタンス

スタッフの手洗い、消毒対策と感染防止に関する知識レベル

いろいろな会場に出入りしていると身をもってわかるのですが、衛生対策は会場によって大きく異なります。
飲食を扱う施設ですから、基本的に衛生管理はしっかりとしているはずなのですが、全員に徹底している施設と厨房などの一部のスタッフに限定しているところに分かれるように思います。

また、食中毒やアレルギー等、飲食に関わるからには一定の知識があるのが当然なのですが、これも会場によってレベルのばらつきがあります。
研修を行ってしっかりと教育している会場と、そうではないところとでは、日頃の管理の意識も変わってきます。

結婚式は内部スタッフだけでは成り立たたないので、どんな会場にも多くの外部スタッフがやってきます。
感染症に限らず、食中毒やアレルギーの対応にも関わることなので、突っ込んで聞いてみるといいかもしれません。

災害を含めた感染拡大時の対応策(予約取消・延期時の規定、料金設定等)と対応策適用開始・終了の判断基準

日本は「契約」という観念が薄いので、申込時に利用規約をきちんと説明できない会場もまだまだ多いのが実情です。
新郎新婦の側でも、規約をしっかり読み込んだ人は少ないのではないでしょうか。

ブッキングビジネスである結婚式には、キャンセルや延期時の支払いの規定がありますが、これは会場が独自で定められる項目です。
他の会場と同じ必要はなく、規約を読んで申込書を取り交わしたのであれば、規約通りに支払いを請求されてもおかしくはありません。

昨年の台風や今年のコロナ禍では、キャンセル料や延期料をお客様との痛み分けで減額する会場が多いものの、ビジネスとして考えれば今後も同じにするとは思えません。
万が一結婚式がなくなった場合に必要な経費や利益を守るための料金設定ですから。

今回の緊急事態宣言では、冠婚葬祭業は生活に必要なものとされ自粛対象外になっており、これだけ結婚式の件数が下がっても助成金等の対象にはなりません。
通常営業が問題ないとされても、クラスタになってはいけないと多くの会場が自粛をし、感染防止モードになっているのに、です。

とはいえ、平常時と今回のような異常時が同じ規約でいいのかという思いも業界全体にあり、これを機に新しい規約にする動きもあります。
そうなると、平常時と異常時のボーダーラインがどこになるのか、というのが問題になります。
感染防止モードをオンにするか、オフにするかも、そのボーダーラインに沿って行くことになるでしょう。
国なのか都道府県なのか、その会場が何を基準に切り替えるのかを検討・決定していくのか、かなり重要なことなのでしっかり確認してください。

会場と交わすのはあくまでも契約です。
内容をしっかり確認し、納得いくなら契約する、という認識を持つべきです。
現在予約が済んでいる方についても規約が変更になる可能性があるので、念のため確認することをおすすめします。

3.リモート等の対応

リモート等の対応

リモート列席の可否(持込み含む)とリモート用設備利用時の料金

感染の可能性が高い状況下では、高齢者や子供がいるゲストが出席できないこともあり、リモートで列席してほしいという希望も増えてくると思われます。
今後は会場でも機材を常設して提供するところが多くなるでしょう。

リモート列席ができる設備があるのか、それを利用する場合の料金はいくらなのかを確認しておきましょう。
また、会場に機材がない、高額過ぎる、求めているクオリティではない、といった理由で機材等を持込みたい人も出てくると思いますが、その可否を確認しましょう。

感染の疑いがある来場者への別室等リモート列席対応の可否

1.にもありますが、熱のあるゲストが来館した場合にどのように対応するのかはかなり悩ましいところです。
感染拡大防止とおもてなしのどちらも満たすにはどうしたらいいか、各会場で苦慮する問題だと思います。

個人的には、そのようなゲストのために別室を準備して、中継を見たり食事ができるようにするのが現実的ではないかと思うのですが、そのための設備や対応が可能かどうか、料金がかかるのかどうかも聞いておきましょう。

以前、noteにゲスト向けのこんな記事を書きました。

「新型コロナ・ノロ・インフルなど感染症にかかったら結婚式には行かないで」
https://note.com/meg_prima/n/n4d99ca183f56

ノロウィルスの場合、罹患を隠して列席したゲストが発生源だったケースも実際にあります。
これを機に、体調が悪ければ欠席すべきという認識が高まるといいなと思います。

打ち合わせのリモート対応の有無

打ち合わせは三密を避けようと思えばできるので必須ではないかもしれませんが、第2波、3波に備えて確認しておくといいと思います。
会場でなくても打ち合わせができる、というのはコロナ禍によるポジティブな気づきでした。

例えば遠方に住んでいる場合、打ち合わせのために時間と交通費をかけて何度か足を運ぶ必要があったのが、自宅に居ながらにして可能だということがわかったからです。
近くに住む場合でも、お子さんがいたり、体調が悪かったりして足を運ばなくて済むならそのほうがいいという方もいるでしょう。
会場側にも、お客様とのスケジューリングがしやすいなど、いろいろなメリットがあります。
今後整備が進んでいくにつれて、どんどん便利になるのではないでしょうか。

対策は発展途上、企業の姿勢を見極めて

このコロナ禍はウェディング業界としても想像を超えたできごとで、対策はまだまだ発展途上です。
最大の業界団体・BIAがいち早くガイドラインを出しましたが、あくまでも厚労省の提言の解説的な内容です。
地域や会場毎にベストなやり方は異なるのですから、それも当然ではあります。
提言やガイドラインを参考に対策を練るのはそれぞれの企業・会場、これから具体化され、随時ブラッシュアップされていくでしょう。

私は、こういった有事の際に企業の姿勢が浮き彫りになると思っています。
まだ策定の途中だとしても、正面からしっかり取り組んでいるかどうかは話しぶりで分かるはずです。
業界のガイドラインを基に対応します、という回答しか出せない会場は、具体的な策がありませんと言っているのと同じ。
耳触りのいいセールストークに流されず、信頼に足る会場かを見極めなければいけないと思うのです。

緊急事態宣言が解除された地域もあり、日常の活動が再開される日も近づいてきているように思いますが、各会場の対策の準備はまだまだ道半ば。
第2・第3の波がくることも考えれば、慌てて会場を押さえることはおすすめしません。
とはいえ、お仕事の関係など、急いでウェディング準備を進めたい方もいらっしゃるでしょう。
安心してゲストを招待できるか、冷静に見極めながら会場を選んでください。

参考資料リンク

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」

2020年5月4日 発表
※「『新しい生活様式』の実践例」を含む
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000629000.pdf

2020年5月1日 発表
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627254.pdf

You Tubeチャンネルで結婚式の感染対策について解説しています。

当サイト内の記事、画像、動画など全てのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を固くお断りいたします。